川嶋 VS ミハレス【第10ラウンド】
ポイント獲得を必達事項とした前ラウンドがすっかりミハレスのスペースで、守勢に回ってしまった川嶋。
「こうなったら倒す以外に勝利はない!」
決死の覚悟を決めた川嶋は、果敢にミハレスを追う。
川嶋の覚悟を見透かしたかのように、ミハレスは下がりながらも、冷静に右ジャブで牽制。なおも前進を止めない川嶋に、左アッパーから右フックを打ち込む。
それに対して体を沈めながらの右アッパーを繰り出した川嶋だったが、それよりも速くミハレスの右フックが川嶋のテンプルを捉える。
その瞬間、川嶋は転倒したが、先に両足が絡まったと見たレフェリーは、スリップと断定する。
だが、このクロス気味の右フックは、確実にダメージを与えていた。レフェリーのスリップ宣言を受け、「これはスリップなんだ!」と自らに言い聞かせ、態勢を立て直さんとする川嶋だったが、ファイディングポーズを取るにも、上半身がシビれ、思うように動かない。
川嶋の後日談によるとボクシングを始めて以来、初めて経験する感覚だったという。「これがパンチが効いた状態なのか?」と妙に納得しながらも、川嶋は即座に臨戦態勢に入らなければならなかった。
もちろん、川嶋に起こった異変を見逃すミハレスではない。
グローブを合わせようとする川嶋に目がけて、容赦なく、襲いかかってくる。この修羅場においても川嶋は、「とにかく打ち返さないと試合を止められてしまう。」と冷静に判断。パンチを返そうとするのだが、上半身が金縛りにでもあったかのように、全く自由が効かず、いたずらにミハレスのパンチを浴びてしまう。
とりあえず、足にはきていなかったため、川嶋はひたすらパンチを受けながらも、後方に下がっていく。そのパンチの総数にして実に50発。
しかし、コーナーへ追い込まれてしまったところで、万事休す。レフェリーが試合をストップすると、その瞬間、川嶋はコーナーを背に沈み込んでいった。
デビュー以来、36戦目にして、初めてのTKO負けであった。
(C) OHASHI BOXING GYM