広島遠征を振り返る
元東洋太平洋スーパーフライ級チャンピオン有永 政幸と福吉 洋次郎の2名が、去る2月16日、広島県立体育館において、地元、広島三栄ジムの日本フライ級3位 中広 大吾、板垣 幸司とそれぞれ対戦した。
【福吉 洋次郎】
まず6回戦において、福吉が出陣。
初回から果敢に前進して行くが、いかんせん振りが大きい。逆に板垣は、内角からショートのパンチを的確に当ててくる。1ラウンド中盤、勢い良く踏み込み過ぎ、やや体が流れてしまったところに、タイミングのいい左右のショートを合わせられた福吉は、不覚にもダウン(ダメージはない)してしまう。その後も板垣は、細かいパンチをスピーディに当て、2〜3ラウンド優位に試合を進める。
だが、いつも中盤からエンジンがかかる福吉は、4ラウンドに入ると、得意の左ボディアッパーを有効に繰り出し、流れを変えようと奮闘。前半の動き過ぎと福吉のボディのダメージから板垣は失速してくる。
「ここからが勝負!」と大橋陣営の誰もが思ったが、コーナーに戻ってきた福吉を見て、大橋会長が異変に気づく。試合中の偶然のバッティングにより、福吉の左目が完全に塞がってしまっていたのだ。「この状態で戦うことは危険だ!」と判断した大橋会長がレフェリーに棄権を申し入れた結果、4回終了で、福吉のTKO負けが告げられた。
いよいよ反撃というところでの試合終了であっただけに、悔しさの残る一戦であった。
【有永 政幸】
そして、迎えたメインイベントは、異様な興奮に包まれた。
現在、共に日本ランキングでは、4位、5位あたりにとどまってはいるが、有永は、昨年までは、バリバリの東洋太平洋チャンピオン。対する中広も、昨年は、日本タイトル(対 内藤)、世界タイトル(対 ボンサクレック)に連続挑戦したトップランカーだ。しかも有永は、一撃必殺のハードパンチャー。中広は、スピーディで確かな技術を持つアマ出身のエリートと好対照だ。わざわざ東京から専門誌の記者も取材に駆けつけたところからも、この異色のカードの期待度を計り知り得た。
試合が始まると有永は、前回(菊井戦)と同じツテを踏まぬとばかり、積極的に前進、右ジャブ、ボディ、左アッパーで先制する。だが、冷静な中広は、前後左右にステップし、有永のブローを巧みにかわす。逆に強弱をつけて、打ち込んでくる右ストレートのタイミングが読めない有永は、いたずらにこの右を喰ってしまう。
有永もよいボディ攻撃でなんとか突破口を開かんとするが、中広のスピードに対応できず、徐々に後退を余儀なくされていく。
そして迎えた第4ラウンド、会心の右ストレートが有永の顔面を捉えると、ストンっと尻もちをつき、最初のダウン。タイミングが絶妙だ。
勝機と見た中広は、ここで一気に勝負に出る。速射砲のように左右フックの連打をロープ際で受けると、有永はたまらず、2度目のダウン。今度はかなりのダメージだ。
有永は、何とか立ち上がったものの、中広の更なるラッシュにロープ際まで追い込まれたところで、レフェリーが試合をストップ。4回2分34秒、中広のTKO勝ちが宣せられた。
これにより、大橋勢は、枕を並べて、討ち死に。苦い広島遠征となった。
(C) OHASHI BOXING GYM