6・4パシフィコ横浜 直前展望(その1)
WBC世界ミニマム級タイトルマッチ【12回戦】
イーグル京和(王者、角海老宝石) VS 八重樫 東(同級6位、大橋)
米倉 健司 会長(昭和34年 パスカル・ペレスに挑戦)、大橋 秀行 会長(昭和61年 張 承九に挑戦)より、前人未踏の国内最短7戦目世界奪取を託された八重樫 東。半世紀にも及ぶ一門の悲願を成就し、かつて師が保持したWBCミニマム級(当時ストロー級)の黄金ベルトを果たして自らの腰に巻くことができるのか?あと10日あまりでその答えが出ようとしている。
ご存じの通り、イーグル京和選手は最軽量級の常識を越える力強さと、卓越した攻守のバランスを兼ね備え、完璧王者の呼び声も高い。また既に2度の載冠と7度の世界戦を経験しており、そのキャリアにおいても申し分ない。昨年5月にロデル・マヨール(フィリピン)を相手に行った2度目の防衛戦では、前半にマヨールの猛攻を受け、左目上も負傷し、絶体絶命のピンチに陥りながらも、後半には驚異的な粘りでジリジリと追い上げ、遂に最終回にはダウンも奪い、見事な逆転勝利をおさめている。これによりイーグルは、これまでの身体的、あるいは技術的な強さだけでなく、精神的な強さにおいても高い評価を得ている。
対する八重樫はデビュー以来、無傷の6連勝。5戦目にして東洋太平洋王者を獲得しているが、キャリアの差から考えるとかなりの不利が予想される。だがそのことについて触れると大橋会長は
「だからやる意味があるんですよ!」
とだけ力強く答える。そして八重樫本人も
「高校からボクシングを始め、足掛け10年。これまで自分が積み上げてきたものを確認する絶好のチャンス。今から楽しみでワクワクしています。」
と不安のかけらもない。この師弟に限っては、“プレッシャー”という言葉は全く意味を持たないようだ。
4月18日より1週間、陣営は静岡・宇佐見で恒例のキャンプを張った。かつてこの地からは、師・大橋会長、先輩・川嶋 勝重も世界の舞台へとはばたいていった。「正直、1回のロードワークをこなす方が12ラウンド戦い抜くよりはるかにキツイ!」とは、川嶋の弁だが、宇佐見のランニングコースは山あり、谷ありと起伏が激しく、スタミナづくりには最適だ。このロードワークにダッシュを加えた地獄のメニューも八重樫は涼しい顔で淡々とこなしていた。
そして横浜に戻ってからは、実戦スパー中心のメニューに切り替わる。八重樫の世界奪取を後押しするため、日本の軽量級を代表する2人の選手が駆けつけてくれた。元東洋太平洋ライトフライ級王者であり、WBA世界10位の山口 真吾(渡嘉敷)と、現東洋太平洋ミニマム級王者の和賀 寿和(畑中)の2人だ。
「山口さんは、国内でも指折りの接近戦の達人。大いに勉強になりました。和賀さんは、スピーディでアグレッシブなタイプなので、仮想イーグルとして最適の人。お2人とたっぷりスパーリングさせていただいたお陰で、どんな攻撃パターンにも柔軟に対応できる自信がつきました。」と八重樫。
昨年9月以来、長いブランクがあったため、試合勘の戻りが懸念されていた八重樫であったが、両者との実戦スパーを重ねるうち、スピード、技術とも日増しに進歩していった。
さらに未確認情報ではあるが、一門の宗師である米倉会長が半世紀に渡り研究してきた「7戦目世界奪取」のための秘策を八重樫に伝授するという情報もある。
絶対的な自信と最高のコンディションで臨む八重樫。イーグルのアグレッシブな攻めをスピーディにかいくぐり、鋭い踏み込みからのストレートを直撃しろ。絶対不利の前評判を覆し、史上最短7戦目の記録を達成し、勝利の雄叫びをあげる姿を是非とも見せて欲しい。
(C) OHASHI BOXING GYM