ヤエガシ・アキラの拳闘王子
第一回 細野よバズーカで世界を撃て!

 でもさすがに一試合だけでは完全に信じる訳にいきませんよね。そこでボクはもう一試合様子を見ることにしました。次の試合は6月。相手はメキシコの強豪エスピノサでした。メキシコの英雄チャベスを尊敬し、(26歳の今も)いつかメキシコ人になりたいと意味不明の言動に走る細野にとって、憧れのメキシカンとの対戦は大いに望むところでしたが、相手はジョニー・ゴンザレスや川嶋さんを2度も破ったクリスチャン・ミハレスといったメキシコの名王者にも勝っているだけに、ボクを始め周囲の人たちはとてもヤキモキしていました。

 しかし、前回の勝利は決してマグレではありませんでした。エスピノサはメキシカン独特の距離から変則的な動きを駆使し、しかも何度となく構えを左右にスイッチするなど、様々な駆け引きを仕掛けてきました。以前の細野がこんなややこしい動きをされたら、スグに混乱してペースを乱されていたことでしょう。でも細野は決して惑わされることなく、ジャブを軸に冷静に試合を進めました。6Rに入ると得意な左フックだけではなく強烈なボディも再三直撃、防戦一方になったエスピノサは戦意を喪失していました。その時「細野は完全に自分のチカラをコントロールしている」とボクは確信しました。

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